君がここで笑うシーンが

いや、答えなんかはいいんだ ただちょっと

もうあとすこし、またあした。

チグハグなタイトルをつけたのは、今の私の心がとてもチグハグだからだ。

 

明日、わたしは、好きな人にあいにいく。

 

本当は、去年もあえるはずだった。

去年のことはあんまり覚えていない。いや、忘れる努力をしたが正しいのだろう。チケットを返金するときのあの痛み、何も知らない人からの残念だったねって絶対残念に思ってないその言葉。色々なことを受け止めるにはあまりにも余裕がなくて、ぐしゃぐしゃにして投げ捨てた。それでいいと思っていたし、そうしなきゃ生きていけなかった。私にとってコロナとの日々は、そういうものだったのだ。必死に必死に言い聞かせて、忘れるためのもの。画面の向こうの、消したら消えてしまう背中に、焦燥感を感じないための、逃げという名前の防御。向き合うべきだったのかもしれない。だけど、最初の緊急事態宣言の最中に失業したわたしには、向き合える強さがもう何も残っていなかった。

 

さて、あれから一年。やっと再就職したと思ったら今度は部署の廃止が決まって昨年とは違う意味で修羅場だけど。器用な人に憧れては失敗してるから、相変わらず器用じゃないけど。正直仕事でいっぱいいっぱいだし、美容院に行ったけど爪もぼろぼろだし顔や体型聞かないでくださいってプラカード出したいし、全部に自信ないけど。それでもコンサートがあると思うとちょっとだけ気を遣う余裕が出てくる。かわいいを諦めなくてもいいんだなって、泣きたくなる。

明日、わたしはリベンジを果たしに行くんだ。明日だけは、かわいい自分を許してあげられる。明日だけは、魔法に酔いしれていてもいい。明日だけ、わたしはシンデレラになれる。

明日だけは、わたしは自由になれるんだ。

空を飛んで、手を伸ばして、好きな人の背中を見つめにいく。それだけで、こんなにも世界は優しい。たった一公演、されど一公演。わたしにとって、最初で最後の今回のツアー。

大変今さらながらわたしはSexy Zone の、中島健人さんのおたくだ。そしてわたしは、けんとくんの背中が好きだった。喜びと傷と、それを包み込む眩しい強さが宿った背中が、本当に好きだ。

 

この一年、何度あなたに救ってもらっただろう。

何度貴方達の言葉に許してもらってきただろう。

何度も何度も、繋ぎ止めてくれた。

 

何を伝えるのがいいんだろう。あまりに実感がなくて、わざと他の趣味に逃げたこともあった。結局それ聴いて思い出すひとは1人だから本末転倒なんだけれど。

それから、うちわ、どうしよう。耳かきさせて、長生きして、よく寝て、健康でいてね、それから、それから……なにせ一年拝めていない。伝えたい言葉が多すぎる。

ファンサうちわ?それを作る勇気があったらこんなことになってないのだ……目の前で見るだけで膝の力が抜けるのにファンサなんていただけた日には砂になってしまう。でも作った方がいいだろうか…耳かきさせてしか浮かばないんだ……この一年耳かきにやきもちをやき続けてきたから……こういうところがぽんこつぽんこつたる所以である。

 

耳かきは一旦野原に投げといて、とにかく。

少しでもありがとうが届きますように。

少しでも、だいすきと伝えられますように。

 

貴方が、貴方達の明日が、

優しいものでありますように。

 

届くように、祈るように、手を叩くんだ。

 

さあて。遅刻しないように目を閉じよう。貴方が優しく笑うシーンを、大好きな背中を、思い浮かべながら。