君がここで笑うシーンが

いや、答えなんかはいいんだ ただちょっと

拝啓 憧れのV6様

V6のみなさんへ。

 

学校へ行こうを見ていて思い出したことがあります。V6のみなさんにお礼を言いそびれていたなと思って、書いています。青年の主張は興味ないかもしれないので、静かにネットに流します。

 

わたしが新卒で就職したのは、不登校の子どもたちのための場所でした。学校が嫌いで、家が嫌いで、大人なんか大嫌い。そんな子どもたちがたくさんいました。

 

あの子達の言葉の中で忘れられない言葉があります。

「道徳の教科書なんてクソ喰らえ」

道徳の教科書は全部うまくいきすぎる。俺の親はあんな風にしてくれない。優しくない。

 

当時の私は新卒で、あの子達からしたら大人には見えなかったらしく、いろんな話をたくさんしてくれました。蹴られたり、燃やされかけたり色々あったけど、それでも他の大人よりはなにげない話をする時間が多かったように思います。

話をする中でわたしはあの子たちに、信頼できる大人を見つけてほしいなあと思うようになりました。親でも、家族でもないおとな。いつでも優しい大人。先生はいつか離れてしまうけれど、できればいつでもそこにいてくれるような大人。あの子達が1人になっても、希望になってくれるような大人。わたしがなれたらよかったけど、あの時の私には無理だったから。

 

そこで頼ったのがV6のみなさんでした。きっかけなんて覚えてないけど、上司に頼んで経費でV6のCDやらDVDやらを買いました。今考えるとよく許してもらえたなと思います。わたしにとってV6はいつでも変わらない大人で、ずっと優しい人たちで。もしかしたらあの子たちにとってもそうなるかもって信じていたのです。

 

「困ったらV6見るんだよ」って、わたしは当時よく彼らに話していました。「V6は絶対に優しいから。道徳の教科書よりずっと優しい」って、ずっと話していました。あの子たちにとって、道徳の教科書なんかより、V6のほうがずっとずっと身近で頼もしい存在になればと願っていました。なんとかして、頼りになる、いつでもうまくいく希望をと願っていたんです。

 

はまらないこもいたけれど、V6に食いついた子達はたくさんいました。あんまり笑わない子がV6を見てる時だけ笑う時もありました。V6を見てる時だけは、わたしに暴力を振るわないのです。壁を燃やしたり、穴を開けようとしたりしないのです。落ち着いて、映像に夢中になってくれたのがまず奇跡でした。わたしはそれを見て泣いていて、V6はこの世の道徳なんだなと思った記憶があります。本当にありがとうございました。みなさんのおかげで、大人になれた子どもがいます。

わたしの新卒で就職したその場所は、去年コロナで持たずに潰れてしまいました。だけど、確かにあの場所でみんなでV6を見た記憶と写真が残っています。

 

V6のみなさん。あの時は本当にありがとうございました。学校へ行こうをみながらなんとなくそんなことを思い出していれば、当時の上司から連絡が来ました。わたしが最初に送り出した子が、大学に入学するという連絡でした。上司もV6さんを見ていて思い出してくれたみたいです。

どうやら、なんとかなったようです。みなさんに支えてもらった子どもたちが、来年の春大学生になります。みなさんにしか笑わなかった子どもです。風のたよりによれば、先生に憧れているらしいです。あんなに無愛想で、壁中に穴を開けて、わたしをしょっちゅう蹴り飛ばしていた子どもが、V6にしか笑わなかった子どもが、大人になって先生を目指すようになりました。学校へ行けなかった子どもが、「学校へ行こう!」と呼びかける方を目指すようになったのです。

 

わたしにとってV6のみなさんは、いつでもそこにいる大人です。きっとこの先もそれは変わらないと思います。V6は平成だし、ふるさとだし、実家です。

 

 

みなさんのこの先が優しいものでありますように。

 

以上で、青年の主張を終わります。

本当に本当に、ありがとうございました。