君がここで笑うシーンが

いや、答えなんかはいいんだ ただちょっと

拝啓 中島健人様

特に意味はないのですが、栄養ドリンクを放り込んでもなにか疲労が抜けない水曜日を過ごしており、縋るように貴方のことを考え言葉を紡いでいます。

 

さて、あの日、一目惚れして熱を出したあの海の日から、随分時が経とうとしています。

正直なことを言うと、こんなに長く貴方が好きだと胸を張って生きれる日々が続くとは思ってはいませんでした。きっといつかどこかで、貴方を怖くなってしまうんじゃないかと思っていました。

 

わたしにとってけんとくんは、光の人です。他のだれがなんと言おうと、貴方が貴方の見せ方を変えようと、わたしにとってあなたは光です。

ふとした時、わたしはいつだって貴方に救われています。貴方の紡いだ言葉に、ギリギリで立たせてもらっています。

たとえば、「ちょっとみんなごめんなんだけど、スモーク焚かれた瞬間におれ自分のことを神々しい神だと思っちゃったのね」といういつかのラジオ。仕事でミスをするたび思い出します。けんとくんが神じゃなかったら神も仏もねえなと駄々をこねてしまいそうになりますが、まあけんとくんが神様ならきっとこれくらい仕掛けてくれるだろうなと思うのです。

たとえば、いつかのごはんの動画。昼休憩の時によく見ています。貴方となら、ごはんを食べれるような気がして。そんな風にして乗り越えた一人きりの食卓が何度もありました。

たとえば、夏のハイドレンジアの出だし。わたしは時々パニックになって使い物にならない時がありますが、そんな時でもあの出だしのけんとくんを聴くと体の力が抜けます。口ずさみながら泣いた日もあります。貴方の優しい声に、たくさん支えられてきました。

 

貴方は、光です。優しくて眩しい、愛の人です。

「美しすぎて目が眩んでしまう 今も劣等感に縛られて生きている」とは貴方のことなのだと思っています。貴方を見ていたら、わたしはあなたのまぶしさに自分が嫌いになる日があって、それが理由で担降りするのだと、あの夏の日から、はじまりの日から既に、貴方にさようならを言う日を考えて生きてきました。

 

わたしは、たぶんろくな人間じゃありません。かわいくないし、綺麗でもない。もの覚えも悪いし、今朝も昨日仕事でやらかしてしまったのではと怖くなって起きました。去年さまざまなことがあって、わたしが代わりになれたらいいのにって何度も思いました。この世にわたし以上にどうしようもない人間はいないと思います。崖の一番下で、ギリギリ生きているような、そんな情けない人間です。

 

だけど、ひとつだけ誇れることがあります。

貴方を好きだということです。

人生に誇れるものなんかないけど、貴方に出会えたことだけは、けんとくんを好きな私だけは肯定していたいんだと、そう思っています。

 

確かに、貴方のまぶしさはすごく怖いです。本当に怖い。焼き焦げてしまうんじゃないかと本気で思う日があるし、理解できなくてそんな自分が嫌になってしまうことも多々あります。

でも貴方のもっと怖いところは、それすら許容してしまうところです。怒ってくれていいのに。突き放してくれればいいのに。貴方はドライな言葉を投げるようで、実はだれより思慮深い。優しい、優しい人だと思うのです。

 

世の中には、さまざまな情報が溢れています。隣の芝生が青すぎて、余計な連鎖をうむことだってあります。頭の中の処理がおいつかなくて、微妙な音がする時もあります。現に今日は朝からずっと錆びています。

だけど、貴方を見れば。貴方の言葉に触れれば。不思議なことに、その一瞬だけは、上手に息ができるのです。そんな人に出会えたこと、幸せだなあと思います。嫌う努力をする必要があるのではと考えてしまうくらいに好きな人に出会えたこと、これ以上の幸せはない気がしています。

 

現に今、貴方に当てのない手紙を紡いでいたらなんだか頭の中が掃除されたような気分になってきました。苦しいこと、悲しいこと。忘れたいけど忘れちゃいけないこと。なかったことにしたい別れ。ぐるぐると渦巻いて傷をつけていたガラスの破片が、綺麗に片付いていった気がするのです。

 

世間は勝手なことを言います。たぶん、貴方にとってわたしも『世間』です。だけど、貴方の選んだ道が正しいのだと思います。貴方が正しいと思うなら、それは公序良俗に反しないこと以外すべて正しいことだと思うのです。貴方が世間に負けてしまわないように。貴方の信じる力が、他の何かに汚されぬように。そう願っています。そしてあなたならそれができると、信じています。わたしが貴方に抱いているのはたぶん、全肯定ではなく、全幅の信頼なんだと思うのです。

 

つらつら好き勝手に書いた手紙を便箋にする勇気はないから、今日はひとまずネットの海に瓶に入れて流してしまおうと思います。貴方に届かなければいい。届かなくていいのです。

 

再来月、わたしは一年ぶりに貴方に会うことができそうです。また大好きな背中を見れるのだと思うと、今からすこしそわそわとしています。伝えたい時はその時に、貴方にすべて届けて帰るつもりです。

 

どうかどうか、貴方の信じるものが貴方の信じたまま輝くことができますように。長い長い旅のすべてが、必ず愛おしい記憶に変わりますように。

 

貴方の見ている世界が優しいものであるよう願って、このあてのない手紙を終えます。